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癌に対する機能性成分の効果について、マスコミや学会発表などの第三者からの情報で、検証することを目的としています。

<2019年11月11日更新>

メシマコブ

臨床研究・報道から考えるメシマコブの効果・副作用

 メシマコブについて、国際研究データベース(Pubmed※)に掲載された「がん」に関係する研究論文、一般報道から、「効果がある」報告、「効果がない」報告、「副作用」報告を調査しました。それらの報告について、データの信頼性(試験方法など)という観点を交えながら解説していきます。

メシマコブに関するヒト臨床研究情報まとめ

■国際データベースのヒト論文掲載(PubMed)
掲載件数※ 癌への免疫力を高める作用 癌の免疫抑制を軽減する作用 癌闘病時の体力回復作用 抗がん剤に近い作用 効果がなかった 副作用があった
1件
×
×
×
×
なし なし

※2000年以降、ヒト臨床研究論文の件数
(効果がなかったという報告の論文は除く)

1.国際研究データベースの「ヒト臨床研究」の文献調査結果

「メシマコブ」に関して国際研究データベース(2000年以降)に掲載されている、がん患者の方を対象とした研究の特徴は以下の2点と思われます。

  1. 2019年になって初めて国際研究データベースにメシマコブの研究論文が掲載されたこと。
  2. がん患者の方を対象としたヒト臨床試験の研究成果が1件(表1参照)のみ登録されていること。

今回調べた機能性成分の中では、研究論文はあまり多くない素材の1つだと言えます。(他の成分との比較は「コチラ」からできます。)

■メシマコブ関連のヒト臨床研究報告<要約>

表1:メシマコブのがん患者対象のヒト臨床試験(2000年以降)2019年9月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説 信頼度
01 すい管腺癌の根治的切除後のアジュバント治療の完遂率に対するメシマコブの影響
2019年 Integr Cancer Ther..誌
<PubMed No.30501431:英文はコチラ>
韓国

対象:根治的切除後でアジュバンド治療を受けているすい管腺癌患者

内容:アジュバンド治療を完遂できたヒトと出来なかったヒトを分ける予測因子としてメシマコブを利用しているかどうかが唯一の予測因子であった。また、メシマコブ利用者では非利用者に比べ、無病生存期間及び全生存期間が有意に長かったという報告

<日本語詳細はコチラ>
★★

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

メシマコブの研究内容について、特に注目される点は以下の2点です。

  1. 研究レベルとしては、コホート研究になります。コホート研究とは研究対象となる集団を大勢集め、長期間追跡しながら観察し続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調査する手法です。★を2つつけていることからも研究レベルは高いです。
    ★3はランダム化比較試験と言います。今回調べた素材ではアガリクスシイタケ菌糸体フコイダンなどでランダム化比較試験の臨床試験結果があります。
  2. 研究内容としては、アジュバンド治療を受けているすい管腺癌の患者を対象とした臨床試験を実施していることです。今回調べた素材の中では唯一、すい管腺癌を対象としています。
    ●アジュバント療法とは手術後などに再発予防の目的で行われる、化学療法やホルモン療法などを指します。メシマコブを使う事でアジュバンド治療を完遂できる可能性が高まることが示唆されています。

    また、この研究が韓国で行われたことです。メシマコブは、韓国で医薬品として認可されています。そのことから、メシマコブの研究が、他の国や地域よりも盛んに行われているのではと推察されます。
■メシマコブの主要研究企業

国内ではメシマコブの研究発表をしている企業・団体は調査した限りでは見つかりませんでした。
※ 商品の販売を目的としているサイトは除外しています。

研究企業名 研究内容
癌の患者さんを対象にしたメシマコブの主要研究企業は、調査した範囲ではありませんでした。

2.新聞・専門誌の文献調査結果

 次次に、メシマコブに関する報道について調査しました。調査対象は、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、共同通信とがん専門誌「がんサポート」「がんの先進医療」、学会誌に絞っています。

メシマコブについての注目される報道は以下の2点です。

  1. ヒトでの有効性について、信頼できるデータが無いという記事が多数あります。その後の2019年に国際研究データベースに初めて掲載されています。今後、研究論文を積み重ね、さらなる研究が待たれます。
  2. 薬事法違反の記事があります。基本的に食品は、「がんに効果的」、「がん予防」として販売することは薬事法違反になります。この記事の解釈としては、「メシマコブが悪い。」ではなく、「メシマコブなどを使って悪いことを考えた会社があった。」が正しいと思います。
■メシマコブに関連した研究ニュース

表2:メシマコブ関連の研究ニュース(2006年以降)2019年9月作成

No タイトル・内容(発行日、紙面名) 解説 種類
01 がんと情報 気になる治療法、担当医と相談を帝京大の渡辺清高准教授(腫瘍〈しゅよう〉内科)のインタビュー記事

(2016/12/27 朝日新聞)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、渡辺清高准教授のコメントとして、サメの軟骨やアガリクス、メシマコブなどを使った人の体験談をもとに有効性をうたうものも多いが、「人間での治療効果が証明されたものはまずありません」とのこと。 その他研究
02 がん予防・食品編

(2014/10/29 毎日新聞 朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、「がんの補完代替医療ガイドブック第3版」では、サメ軟骨、メシマコブなどのキノコ類、プロポリスなどは、「人を対象とした過去の数々の臨床試験の総合評価では、確実にがんを予防したり、治したりする科学的な根拠は得られていない」と述べているとのこと。 その他研究
03 「がんに効く」と宣伝、薬事法違反認める

(2011/04/22 大阪読売新聞 朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、メシマコブが含有された清涼飲料水を「がんに効く」と宣伝、販売したなどとして薬事法(未承認医薬品の広告禁止など)違反に問われた会社社長の初公判が開かれ、起訴事実を認めたとのこと。 その他研究
04 がんの補完代替医療 独立行政法人の国立健康・栄養研究所が、健康食品の研究成果や健康情報を公開

(2010/9/21 朝日新聞 朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、アガリクスについては「ヒトでの安全性と有効性については、信頼できるデータが見当たらない」、メシマコブについては、「大量摂取は下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす可能性があり、避けるべきである」、サメの軟骨については「乳がん、大腸がん、肺がん、前立腺がん、脳腫瘍(しゅよう)に効果がなかった」という情報を独立行政法人の国立健康・栄養研究所が公開しているとのこと。 その他研究
05 健康食品のカルテ/がん患者とサプリ

(2007/5/18 共同通信(河北新報)朝刊)
記事・関連情報のリンクはありません。
記事によると、がん患者がよく利用する健康食品(アガリクス、プロポリス、AHCC、サメ軟骨、メシマコブ)のヒトでの有効性を調べるため、国内外の科学論文を検索した結果、がんの縮小や延命効果といった直接的な治療効果を証明する報告はほとんどなかった。」とのこと。 その他研究

本サイトでは記事全文は著作権があり掲載できません。全文を見たい場合は、大きな図書館で過去の記事が見られることもあります。

3.国際研究データベースの「動物試験」の文献調査結果

 メシマコブは「動物試験」の研究論文が比較的多くあります。疾病分野においては、ヒトで試験する前に動物試験や細胞試験などの基礎研究において、安全性や有用性が認められることが重要となります。ただし、動物試験で効果があるという結果でも、ヒトでも同様の効果や作用があるかはわかりません。同じ効果があるかはヒト臨床試験の結果が待たれます。そこは念頭においた上で読んでください。

メシマコブの動物研究について、特に注目されるのは下記の2点です。

  1. 「乳房」「大腸」「白血病」「メラノーマ」「肺がん」と幅広いがん種のマウスで動物研究が行われていることです。これらの基礎研究が続き、ヒト臨床試験まで進むことを期待したいです。
  2. 2017年以降、動物試験の研究論文が3件(2019年9月現在)掲載されていることです。これはフコイダン霊芝に次いで3番目に多い件数です。
■メシマコブ関連の動物研究報告<要約>

表3:メシマコブ関係の動物試験(直近5件)2019年9月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説
01 DNAプライマーゼポリペプチド1(PRIM1)は細胞周期チェックポイントの活性化を介してエストロゲン誘導乳癌発生に関与する
2019年Int J Cancer.. 誌
<PubMed №30097999:英文はコチラ>
台湾
対象:乳房担癌マウス
内容:腫瘍モデルマウスにおいてPRIM1の発現は正常組織よりも高かった。ヒトでの発現を調べると、PRIM1とエストロゲン受容体が発現する患者で全生存率が低かった。腫瘍モデルマウスにメシマコブから単離したイノチロンには、PRIM1の発現を抑制し、抗腫増殖を抑制させたという報告
<日本語詳細はコチラ>
02 発芽玄米上で培養したメシマコブはKRAS遺伝子変異大腸癌のセツキシマブに対する感受性を高める
2017年Int J Mol Sci.誌
<PubMed №28800074:英文はコチラ>
韓国
対象:大腸がん担癌マウス
内容:セツキシマブに対して薬剤耐性のあるKRAS変異大腸がんに発芽玄米上で培養したメシマコブを併用すると、大腸がん細胞の増殖が抑制され、アポトーシスが誘導された。動物モデルにおいても腫瘍移植したマウスにセツキシマブと発芽玄米上で培養したメシマコブを併用すると、セツキシマブへの感受性を高め腫瘍増殖を有意に抑制したという報告
<日本語詳細はコチラ>
03 ブラックフーフ薬用キノコメシマコブの多糖類によって誘導されるメタロプロテアーゼ-1(TIMP-1)およびIL-23の組織阻害作用
2017年 Int J Med Mushrooms. 誌
<PubMed №28605336:英文はコチラ>
韓国
対象:白血病細胞移植マウス
内容:メシマコブがTIMP-1の過剰発現を介して腫瘍の増殖に関わるMMP-9の働きを抑制した。またメシマコブの分画刺激によりマクロファージ細胞培養液中のIL-23、IL-17の産生が増加すること、さらにメシマコブの経口摂取でもTIMP-1を誘導し、抗腫瘍の可能性を示した報告。
<日本語詳細はコチラ>
04 メラノーマ保有マウスにおける抗腫瘍効果
2014年 Molecules.誌
<PubMed №25221864:英文はコチラ>
韓国
対象:メラノーマ保有マウス
内容:メシマコブを含む混合物が、ドキソルビシン投与群に匹敵する抗腫瘍効果を示したという報告
<日本語詳細はコチラ>
05 肝臓癌細胞保有マウスにおける抗腫瘍効果
2011年 J Ethnopharmacol.誌
<PubMed №20951789:英文はコチラ>
台湾
対象:肝癌細胞を移植した重症複合免疫不全マウス
内容:メシマコブを投与したところ、腫瘍の大きさが有意に減少したという報告
<日本語詳細はコチラ>

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

参考:がんに関するヒト臨床・動物研究情報<詳細>

 以下は、pubmedから検索した論文のまとめ部分の翻訳になります。なるべく原文と同じ意図で翻訳をしています。Pubmedの原文もリンクしたので合わせてご参照ください。

■メシマコブ関連のヒト臨床研究報告<詳細>

表4:メシマコブ関連のがん患者対象のヒト臨床試験(2000年以降)2019年9月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説 信頼度
01 すい管腺癌の根治的切除後のアジュバント治療の完遂率に対するメシマコブの影響
2019年 Integr Cancer Ther..誌
<PubMed No.30501431:英文はコチラ>

執筆者:
Lee SH
Yonsei University College of Medicine, Yonsei Cancer Center, Severance Hospital, Seoul, Korea.

Hwang HK
Kang CM
Lee WJ
背景
膵臓癌においては、外科的切除後にアジュバント化学療法を行うのが唯一の治療選択肢である。しかし、根治的切除後のアジュバント治療の順守向上を評価する方法に関する研究は少ない。

方法
1995年1月から2014年12月の間にSeverance病院で膵切除術を受けた323名の膵臓癌患者が本研究に登録された。傾向スコアマッチング法により臨床病理学的因子を遡及的に分析した。

結果
術前補助療法または姑息的切除を受けた患者、術後30日以内に死亡した患者、退院後の追跡不能患者を除外した後の最終研究集団は217名であった。このうち、161名は根治的切除後にアジュバント療法を受けた。コックス比例ハザードモデルで、リンパ節転移、周術期輸血、アジュバント治療の完了は癌の再発および癌関連死と有意に相関していることが明らかになった(P <0.05)。ロジスティック回帰分析において、メシマコブ(PL)投薬は根治的切除後のアジュバント治療完了の唯一の有意な予測因子であった(P = 0.039)。PL投与群の無病生存期間および全生存期間は、PL非投与群よりも有意に高かった(P <0.05)。

結論
PL投薬が化学療法の低毒化に関与した結果、患者の術後アジュバント化学療法の順守が向上し、PL投薬が長期の腫瘍学的な結果に寄与した可能性がある。
★★

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

■メシマコブ関連の動物研究報告<詳細>

表5:メシマコブ関連の動物試験(直近5件)2019年9月作成

No タイトル・文献・PubMed№ 解説
01 DNAプライマーゼポリペプチド1(PRIM1)は細胞周期チェックポイントの活性化を介してエストロゲン誘導乳癌発生に関与する
2019年Int J Cancer.. 誌
<PubMed №30097999:英文はコチラ>

執筆者:
Lee WH
Department of Pathology, School of Medicine, College of Medicine, Taipei Medical University, Taipei, Taiwan.
Department of Pathology, Taipei Medical University-Shuang Ho Hospital, New Taipei City, Taiwan.

Chen LC
Lee CJ
Huang CC
Ho YS
Yang PS
Ho CT
Chang HL
Lin IH
Chang HW
Liu YR
Wu CH
Tu SH
DNAプライマーゼポリペプチド1(PRIM1)は、DNAの不連続複製中に生成される岡崎フラグメントのための短いRNAプライマーの合成を担う。乳房腫瘍サンプル中のPRIM1 mRNA発現レベルをリアルタイムPCR分析によって検出した。またPRIM1の発癌作用および治療への応用可能性を調べるため異種移植担癌モデルを作成した。腫瘍組織におけるPRIM1 のmRNA(コピー数× 103 /μg)の平均発現は正常組織よりも4.7倍高かった(*p = 0.005, n = 254)。高分化腫瘍組織(n = 10)と比較して、低分化腫瘍組織(n = 46)においてPRIM1が高レベル(>40倍)で有意に検出された(*p = 0.005)。ER-(n = 10)患者と比較すると、PRIM1発現がより高いエストロゲン受容体陽性(ER+、n = 20)患者と全生存率の低さとに相関がみられた(カイ二乗検定、p = 0.03)。ER+ BT-474細胞異種移植腫瘍内でのPRIM1-siRNAの安定発現はSCIDマウスにおいて腫瘍体積を有意に減少させた(*p = 0.005)。メシマコブから単離したイノチロンの抗腫瘍効果を調べたところ、ER+乳癌細胞におけるPRIM1タンパク質の発現阻害に有意な効果を示した。イノチロン投与によるin vivo試験(10 mg / kg、週2回6週間)では、BT-474異種移植の腫瘍増殖量が対照群と比較して有意に減少した(1群あたりn = 5、*p <0.05)。本試験は、ER+患者での低い全生存率を伴うPRIM1の予後影響の証拠となり、治療目的の試験に有益であろう。
02 発芽玄米上で培養したメシマコブはKRAS遺伝子変異大腸癌のセツキシマブに対する感受性を高める
2017年Int J Mol Sci.誌
<PubMed №28800074:英文はコチラ>

執筆者:
Park HJ
Department of Food Biotechnology, Gachon University, Kyungji-Do 13120, Korea. nimpi79@hanmail.net.

Park JB
Lee SJ
Song M
大腸癌は最もよく見られる癌の1つであり、近年は世界的に死因の第1位になっている。大腸癌の中でも、v-ki-ras2カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)変異型は、有効な薬剤が存在しないという特徴で広く知られている。上皮成長因子受容体に結合するモノクローナル抗体であるセツキシマブが抗腫瘍療法として導入されてきた。しかし、癌への有効な使用は二次耐性および副作用により著しく制限される。本研究では、セツキシマブに対するKRAS変異大腸癌の感受性を高めるため、発芽玄米を用いて作成した抽メシマコブ(PBR)の抽出物を利用した。PBR抽出物とセツキシマブの併用治療はSW480細胞の生存/増殖を抑制し、当該細胞は細胞形態変化およびクローン原性の可能性を示した。アネキシンVフルオレセインイソチオシアネート/ヨウ化プロピジウム染色フローサイトメトリーとウエスタンブロット法を行ったところ、セツキシマブとPBR抽出物の併用治療はSW480細胞のアポトーシスを増加させ、それらのKRAS蛋白質発現を抑制した。異種移植担癌マウスモデルを使い、PBR抽出物の相乗的抗癌剤としての可能性をさらに調べた。PBR抽出物とセツキシマブの併用治療により腫瘍増殖は有意に抑制された。結論として、PBR抽出物はKRAS変異大腸癌細胞のセツキシマブへの感受性を増加させた。これは、大腸癌に対する医療食品としてPBR抽出物を使用しうる可能性を示す。
03 ブラックフーフ薬用キノコメシマコブの多糖類によって誘導されるメタロプロテアーゼ-1(TIMP-1)およびIL-23の組織阻害作用
2017年 Int J Med Mushrooms. 誌
<PubMed №28605336:英文はコチラ>

執筆者:
Yoon SK
Department of Life Science, University of Seoul, Seoul, Korea.

Sung SK
Lee DH
Kim HW
マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)は、細胞の増殖、遊走、浸潤および血管新生に関わる多様な役割を果たしている。メタロプロテアーゼ−1の組織阻害剤(TIMP-1)はMMP-9と1:1の比率で複合体を形成することにより、MMP-9を阻害することが知られている。TIMP-1の過剰発現を介してのMMP-9活性の抑制は、腫瘍微小環境での浸潤と血管新生を阻害し、腫瘍増殖と転移の調節を可能にする。アベルソン白血病ウイルス形質転換で得られたBALB/c系統由来の細胞株であるRAW264.7マクロファージ細胞において、10〜1000μg/mLのメシマコブ(CPP)の粗多糖類画分による処理によって、転写レベルで用量依存的にTIMP-1とインターロイキン(IL)-23が誘導されることがわかった。CPPを2つの多糖類画分(Fr-I、Fr-II)と1つのタンパク質画分(Fr-III)に精製した。RAW264.7培養系における定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)解析によれば、これら3つの画分のうち、Fr-IIは対照と比較してTIMP-1発現を6.8倍増加させた。これに対し、3つの画分すべてがIL-23発現を増加させ、Fr-IIによる増加が最も大きかった。qRT-PCR解析は、Fr-IおよびFr-IIがRAW264.7細胞におけるIL-17発現をそれぞれ13.3倍、19.6倍増加させることを示した。肺組織におけるIL-17発現は対照群と比較して2.1倍増加したが、肝臓組織においては7日間のCPPの経口投与で変化は認められなかった。qRT-PCR解析は、マウスモデルにおいて、CPPがMMP-9発現に影響を与えることなく、肝臓TIMP-1と肺IL-17発現をそれぞれ8.9倍および2.1倍誘導したことを示した。細胞試験および動物試験でのデータは、メシマコブの多糖類画分の投与によりMMP-9発現の変化を起こさずにTIMP-1を誘発することが薬用キノコメシマコブ由来多糖類の新しい抗腫瘍あるいは抗転移のメカニズムになり得ることを示唆する。
04 メラノーマ保有マウスにおける抗腫瘍効果
2014年 Molecules.誌
<PubMed №25221864:英文はコチラ>

執筆者:
Park HJ
Department of Food Science and Biotechnology, College of BioNano Technology Gachon University, Sungnam Gyeonggi-do 461-701, Korea.
キノコ由来の天然物は何千年にもわたって、癌の予防・治療に使用されてきた。本研究では、発芽玄米上で培養したメシマコブ、発芽玄米上で培養したカバノアナタケ、発芽玄米上で培養したベニクスノキタケおよびマンネンタケから得た菌糸体の混合物であるCARI(細胞活性化研究所)IIIの抗腫瘍効果を評価した。CARI IIIはメラノーマに対し、in vivoでDox(ドキソルビシン)に匹敵する抗腫瘍効果を発揮することがわかった。B16F10細胞をC57BL6マウスに腹腔内注射して固形腹腔内腫瘍を発生させた。CARI IIIの300mg/kg/日の経口投与により、Dox投与群に匹敵する腫瘍重量の減少が見られた。腫瘍対照群と比較して、CARI III投与群では寿命の増加(ILS%=50.88%)が観察された。CARI IIIはG0/G1細胞周期停止を誘導することによってB16F10メラノーマ細胞に対する抗増殖活性を示した。CARI IIIはcyclin D1、CDK4、CDK2の発現を阻害するとともに、p21を誘導する。したがって、CARI IIIはメラノーマ患者にとっての強力な化学予防補助剤となる可能性がある。
05 肝臓癌細胞保有マウスにおける抗腫瘍効果
2011年 J Ethnopharmacol.誌
<PubMed №20951789:英文はコチラ>:英文はコチラ>

執筆者:
Huang HY
Department of Food Science, Nutrition, and Nutraceutical Biotechnology, Shih-Chien University, Taipei, Taiwan.

Chieh SY
Tso TK
Chien TY
Lin HT
Tsai YC
<研究目的>
メシマコブから得た菌糸体PL-7(MCPL-7)の抗腫瘍効果の評価とin vivoでの賦活メカニズムの解明

<方法>
SCID CB-17マウスにHep3B細胞を移植した後、MCPL-7を8週間投与した。腫瘍移植後、C~E群にそれぞれ1日あたり50mg/kg、100mg/kg、250mg/kgのMCPL-7粉末を8週間皮下投与した。A群およびB群には生理食塩水を8週間皮下投与した。

<結果>
MCPL-7投与により腫瘍の大きさは有意に減少した。これはT細胞数、IL-12、IFN-Y、TNF-αの分泌量、NK細胞活性、貪食機能の有意な増加と関連している。したがって、CD4(+)細胞数の増加は、樹状細胞と脾臓内のマクロファージの数の増加で起こったと考えられる。さらに、樹状細胞とマクロファージの活性化がIL-12分泌量の増加につながり、それによってNK細胞の活性化が増進した可能性がある。IL-12、IFN-Y、TNF-αの分泌量の増加はNK細胞の活性と貪食能力を高めた。このように、MCPL-7はその免疫調節および抗腫瘍効果ゆえに有望な治療法になるかもない。

※PubmedよりeSURVEY翻訳・作成

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